片道30km通勤|年間480時間を失っていると気づいた日

退職への道

片道30km通勤|年間480時間を失っていると気づいた日


私の職場までは片道30kmある。往復60km。時間にして約2時間。

年間にすると約480時間。ほぼ1か月分を車で往復している計算になる。

好きな音楽を聴きながら運転するので、楽しい瞬間もある。

でも40代になり時間を強く意識するようになってから、

この2時間が急にもったいなく感じるようになった。


渋滞のたびにピリピリしていた

通勤路で一番消耗するのは渋滞だ。

突然の事故渋滞。右折信号待ちからの本線への列。平常時なら気にならない割り込み。

それだけでイライラが止まらなくなる。

とにかく早く着かなければ。

その一心で毎朝ハンドルを握っていた。

子どものお迎えに間に合わせるために時差出勤をさせてもらっていたが、

渋滞に巻き込まれるとギリギリになることもあった。

余裕がない状態で運転して、余裕がない状態で帰宅する。それが毎日だった。


子どもに怒鳴ってしまった夜

帰宅後は夕飯、洗濯、お風呂。あっという間に時間が過ぎていく。

でも一番しんどかったのは、翌日の仕事のスケジュールが頭から離れない夜だった。

家事をしながらも、ずっと明日の仕事のことを考えている。

段取り、報告、締め切り。頭の中が仕事で埋まったまま帰宅する。

そんなときに子どもたちが話しかけてくる。

思考がパンクした。

「うるさい」と怒鳴ってしまったことがある。

子どもは何も悪くない。ただ話しかけてきただけだ。

でもその瞬間、自分の中で何かが限界を超えていた。

今でも後悔している。あの夜のことは忘れられない。

「もう少し余裕があれば、もっと優しくできるのに」

そう思いながら、翌朝また車に乗った。


通勤コストの現実

感情的な消耗だけじゃない。お金の面でも通勤はコストがかかっていた。

往復60km×月22日勤務で月約1,320km。

燃費12km/Lで計算すると月約110L、ガソリン代だけで月約16,500円。年間で約198,000円だ。

さらにオイル交換が年3回で約25,000円。タイヤ交換が3年ごとに約60,000円。

通勤だけで年間20万円以上のコストが発生していた。

通勤は無料ではなかった。時間とお金の両方を差し出していたのだ。


踏み切れなかった理由

転職も考えた。でも踏み切れなかった。

安定収入がなくなること。社会的信用を失うこと。

家族を守る責任がある。これだけの理由があると、軽はずみにリスクは取れなかった。

そのまま数年が過ぎた。


退職を決意した瞬間

決定的な出来事があった。

わが子が元気なのに学級閉鎖で1週間学校に行けなくなったときだ。

私は仕事を休むことができなかった。

妻も本来は休めない状況だったのに、むりして休んでもらうことになった。

このとき内心思った。もうダメかもしれない。

元気な子どもを家に置いて、仕事に行く。妻に無理をさせている。

家族のために働いているはずなのに、家族に迷惑をかけている。

何かが根本的におかしいと感じた瞬間だった。

資産がそれなりに積み上がっていた。配当収入もある。

退職という選択肢が、初めてリアルに見えた瞬間だった。


それでも、まだ答えは出ていなかった

安定を手放すことは、想像以上に怖い。

年間480時間を取り戻せるかもしれない。

子どもに怒鳴らなくて済む生活ができるかもしれない。

頭ではわかっている。でも踏み出せない自分もいた。

「このままでいいのか」という問いだけが、ずっと胸の中に残っていた。

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