なぜ我が家は”夫側”が退職するのか|家庭最適化という考え方
「男が稼ぐもの」という空気は、まだ世の中に残っている。
私自身も、その前提のもとで生きてきた。
妻が育児休暇に入ったとき「家庭を任せるのだから、自分はもっと稼がなければならない」と思っていた。夫として、父として、稼ぐことが自分の価値だと信じていた。
でもある日、その前提が静かに崩れた。
源泉徴収票を見た日
資産運用は私がメインで担当している。
確定申告をするために、毎年夫婦の源泉徴収票を並べて見る。
数年前から気づいていた。
私の年収が伸び悩んでいる。妻の年収はぐんぐん上がっている。
世帯収入としては喜ばしいことだ。でも正直、情けない気持ちになった。
「男としてどうなんだろう」という感情がなかったと言えば嘘になる。
職場を見渡しても、時短勤務を取っているのは女性が多い。
男性が稼ぐのが当たり前という空気は確かにあった。
その空気の中で、妻より稼げていない自分がいた。
でもしばらくして、こう思い直した。
自分は別の形で家庭の価値を高められないだろうか。
数字で見たら合理的だった
感情を一度横に置いて、数字だけを見ることにした。
妻は安定した職に就き、収入も私より高い。社会保険や将来の年金面でも強い。
一方、私の年収には交通費や一時的な補助が含まれている。
純粋な労働対価で比較すると、差はさらに広がる。
であれば答えはシンプルだ。
より安定している側が外で働き続ける。そうでない側が家庭と資産運用を担う。
これは敗北でも挑戦でもない。チームとして最適な配置を選ぶということだ。
役割を変えるという発想
そこからFP3級を取得して、資産運用を本格的に始めた。
インデックス投資と高配当株。家計管理を一括で担い、資産形成の設計を行う。
家庭のお金の流れを可視化して最適化する。
いつの間にか私は、家庭の「お金の司令塔」になっていた。
稼ぐ金額では妻に及ばないかもしれない。
でも家庭全体の資産を設計・管理する役割は私が担っている。
形は違っても、家庭への貢献は続けられる。そう思えるようになった。
退職という選択について
退職を考えるとき、不安がゼロとは言えない。
でも怖いのは退職そのものではない。自分で選ぶことだ。
レールの上を進むのではなく、自分たちで進路を決めること。戻れないかもしれない。
それでも今のまま時間を差し出し続ける方が、私は怖い。
「男が稼ぐ」という前提ではなく「家庭にとって最適な役割を担う」という基準で選ぶ。
源泉徴収票を見て情けない気持ちになったあの日から、考え方が変わった。
数字は正直だ。感情より数字を信じた結果が、今の選択につながっている。


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