40代になったころ、「とうとう、ここまで来たのか」と思いました。
20代は仕事を覚えることに必死で、30代は結婚し、子どもが生まれ、仕事と家庭を守ることに夢中でした。経験が増えるほど仕事も増え、気づけば一日、一週間、一年が過ぎていました。
その中で浮かんだのが、「このままで本当にいいのだろうか」という疑問です。私は時間を優先して18年間勤めた会社を退職しましたが、友人や元同僚は会社に残りました。
誰が正しいのかではなく、同じ会社員でも、時間と安定をどう捉えるかが違う。人との会話を通じて分かったことを、自分の決断とともにまとめます。
20代と30代は、目の前の役割を走り続けた
20代の私は、先輩やベテラン社員から仕事を教わり、一日でも早く一人前になりたいと考えていました。ベテラン社員が退職すると、今度は自分が中心となって仕事を進める立場になりました。
もっとスキルを身につけたい。会社に貢献して給与を上げたい。仕事の成果が、そのまま自分の前進だと思っていました。
30代になると結婚し、子どもが生まれました。守る家族ができ、働く理由はさらに明確になりました。仕事も家庭も充実し、「このまま頑張ろう」と思っていました。
しかし40代になると、時間が過ぎる速さを意識するようになりました。朝は子どもの送迎、日中は仕事、帰宅後は家事。目の前のタスクを終えるだけで一日が過ぎます。
会社と通勤に使う時間を数字で見た
一日8時間の勤務に通勤を加えると、会社のために使う時間は10時間を超えました。私の場合、通勤だけで一日に約2時間、月20日勤務なら年間約480時間です。
この数字の詳細は通勤の記事に分けますが、計算したことで「忙しい」という感覚が具体的になりました。
同時に、子どもの今の顔、声、笑い方は、来年には変わっていることにも気づきました。仕事は後でもできるかもしれませんが、子どもが小さい時期は戻りません。
私は、お金が大切ではないと思ったわけではありません。家計と教育費の見通しを確認したうえで、今の自分にとっては安定を増やすことより、家族とブログなどの個人活動へ使う時間を確保したいと考えました。
会社に残った友人は、安定を選んだ
私が退職した一方で、友人は会社に残る道を選びました。
会社で働くことが好きな人も、仕事にやりがいを感じる人もいます。安定した給与を受け取り、定年まで勤め、その後の生活を考える人もいます。私は、その選択も立派だと思っています。
私の父は、一つの会社で45年間勤め上げました。私は18年で退職し、父とは違う道になりましたが、長い会社人生を全うした父を見て、会社に残ることの価値も感じています。
私と友人を分けたのは、能力や勇気ではなく、その時点で最も大切にしたものです。私は時間を選び、友人は安定を選びました。
元同僚の「必要なコスト」という考え方
退職後、元同僚のライブを見に行きました。ステージ上の同僚は、会社で働いているときとは違う表情で、仕事以外の時間も楽しんでいることが伝わってきました。
ライブの後に退職後の生活を話すと、同僚は会社について「とりあえず行って我慢しとけばお金もらえるじゃん」と言いました。さらに、会社で過ごす時間は「必要なコストとして割り切っている」と話しました。
私はそれまで、会社に残る人は時間の価値に気づいていないのではないかと考えかけていました。しかし、この会話で違うと分かりました。同僚は時間の価値を理解したうえで、安定した給与に必要なコストとして納得し、会社の外ではライブに取り組んでいたのです。
私には、その割り切り方ができなくなりました。子どもと過ごす時間や、ブログなど会社以外の活動に使う時間を確保したかった。その違いが見えたことで、自分の決断を相手へ勧める必要はないと気づきました。
価値観と、今すぐ変えられない条件は分けて考えた
「会社に残りたい」と「今は会社に残る必要がある」は、同じではありません。
住宅ローン、教育費、毎月必要なお金など、家庭の条件によって選べる道は変わります。これは元同僚の事情を指すものではなく、私が人と話し、自分の家計を確認して感じたことです。
私も、準備をせず時間だけを優先したわけではありません。家計を把握し、教育費の見通しを考え、妻へ相談したうえで、今なら動けると判断しました。
価値観だけを比べれば同じでも、条件が違えば結論は変わります。退職した人が会社に残る人を「勇気がない」と決めたり、残った人が退職した人を「我慢が足りない」と決めたりすれば、その人が守っているものを見落とします。
退職後は、空いた時間の予定を自分で決める必要があった
退職すると、通勤と勤務に使っていた時間が空きました。子どもの迎え、家族との夕食、ブログ、運動などへ使えるようになりました。
ただし、その時間が自動的に価値あるものになるわけではありません。会社員時代には勤務時間が一日の枠を作ってくれましたが、退職後は、何をするか、いつ休むか、結果が出なくても続けるかを自分で決めます。
私の実感に近いのは、「時間を取り戻した」というより、「時間の使い道を自分で引き受けた」という表現です。退職後の時間管理は、別の記事で一日の具体的な流れとしてまとめます。
「辞める・残る」の前に整理したい三つの欄
元同僚との会話の後、私は紙を三つに分けて考えました。
- 会社に残ることで得られるもの
- 会社に残ることで失うもの
- 今すぐには変えられない家庭の条件
この三つを混ぜると、「会社が嫌なのか」「時間の使い方を変えたいのか」「条件が整っていないのか」が分かりにくくなります。
さらに私は、次のことを自分に問い直しました。
- 会社で過ごす時間を、納得できるコストだと思えるか
- 安定した収入と引き換えにしても守りたい時間は何か
- 自分の価値観ではなく、家庭の条件で動けない部分は何か
すぐに退職を決めるための質問ではありません。自分が何に迷っているのかを分けるための質問です。
まとめ|退職と継続を、価値観と家庭の条件で比べた
私は退職しました。友人と元同僚は会社に残り、父は45年間勤め上げました。それぞれ、守りたい収入や時間、家庭の条件が違います。
私が確認したのは、会社に残ることで得られるもの、失うもの、今すぐ変えられない家庭の条件です。三つを分けたことで、退職したい感情だけでなく、会社に残る利点も同じ紙の上で比べられました。
退職後の働き方は、今も試行錯誤の途中です。ただ、家計を確認し、妻へ相談し、会社に残る案とも比べて決めたため、判断の経緯は説明できます。


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