数年間、共働きで家計を管理しながら、淡々と積立投資を続けてきました。
家事を分担し、子どもが体調を崩せば夫婦のどちらかが仕事を調整する。そんな毎日を過ごす中でも、家族との時間だけは大切にしたいと思っていました。
投資を続けたことで、子どもの学費に対する不安は以前より小さくなりました。そのとき、ふと疑問が浮かびました。
「このまま働き続ける必要はあるのだろうか」
これが、18年間勤めた会社を退職するまでの長い迷いの始まりでした。
この記事は、投資方法や退職を勧めるものではありません。40代で退職を考え始め、辞めたいのに辞められなかった私が、何を確認して決断したのかを振り返る体験記です。
40代で「このままでいいのか」と思った
私は18年間、品質管理の仕事をしてきました。
専門性を高めたいと思い、毎年資格試験にも挑戦していました。去年の自分より少しでも成長したい。そんな気持ちで勉強を続けてきました。
20代、30代のころは、仕事を覚え、会社で役割を果たすことに夢中でした。しかし40代になり、仕事のプレッシャーが増える一方で、時間の重さを強く意識するようになりました。
朝起きれば仕事のことを考え、帰宅しても疲れを引きずる。休日にも月曜日のことが頭をよぎる。自分で選んだつもりはないのに、気づけば会社が生活の中心になっていました。
退職を考えた理由は一つではなかった
職場までは往復60kmあり、通勤には約2時間かかっていました。年間にすると約480時間です。
そこに家事、育児、送迎、子どもの体調不良が重なります。予定外のことが起きるたびに、妻と仕事を調整しなければなりませんでした。
一方で、個人事業へ使いたい時間もありました。会社員の副業として続けるのではなく、自分の仕事として向き合いたい気持ちが大きくなっていました。
私が退職を考えた理由は、仕事が忙しいという一言では説明できません。
- 往復2時間の通勤を続けること
- 家事や子育ての予定外に余裕を持てないこと
- 子どもと過ごせる今の時間が減っていくこと
- 個人事業へ本気で取り組む時間が足りないこと
- 会社を生活の中心にしたままでよいのかという疑問
これらが重なり、「会社を辞めたい」という気持ちが消えなくなりました。
辞めたいのに辞められなかった四つの理由
退職を考えたからといって、すぐに決断できたわけではありません。私の中では、四つの問題が重なっていました。
収入がなくなる怖さ
18年間、毎月決まった日に給与が振り込まれる生活を続けてきました。賞与、社会保険、退職金への期待も、生活の土台として当たり前になっていました。
会社を辞めた後、自分で収入を作れるのか。家族と生活していけるのか。これが一番大きな不安でした。
家族へ負担をかける怖さ
妻と子どもがいる中で、自分の気持ちだけで退職してよいのかと何度も考えました。
妻も働いていましたが、「夫である自分も安定して稼ぎ続けるべきだ」という思いが残っていました。
18年間の積み上げを手放す怖さ
品質管理の経験や、毎年続けてきた資格の勉強を、会社を辞めれば使わなくなるかもしれません。
会社名、勤続年数、役割がなくなったとき、自分には何が残るのか。18年間積み上げたものを途中で手放すことにも迷いがありました。
世間体への不安
18年間勤めた会社を40代で辞めることを、周囲はどう見るのか。無謀だと思われないか。生活の問題だけでなく、世間体まで気にしていました。
当時は、これらをすべてまとめて「退職が怖い」と考えていました。そのため、何を確認すれば前へ進めるのか分からなかったのです。
会社に残る方法も考えた
私は最初から退職だけを選択肢にしていたわけではありません。
勤務時間を短くできないか。今の会社に残りながら、ブログなど会社以外の活動を続けられないか。安定を保ちながら使える時間を増やす方法も考えました。
それができれば一番安全に見えました。しかし、考え続けても「やはり辞めたい」という気持ちは消えませんでした。
単に仕事量を減らしたいのではなく、通勤や仕事に使っていた時間を、家族とブログなどの個人活動に使いたいという希望が、以前よりはっきりしていたからです。
不安を一つずつ事実に変えていった
勢いだけで会社を辞めないために、家計と生活を確認しました。
支出を把握し、収入が減った場合の生活を妻と話し、生活防衛資金として1年分を目安に準備しました。個人で続けてきた仕事についても見直しました。
数年前から続けていた家計管理や投資によって、お金の不安は以前より小さくなっていました。ただし、数字を確認しても不安がゼロになったわけではありません。
変わったのは、「何となく無理だと思う状態」から、「私たちの家庭では、収入が減ってもどこまで生活できるかを確認する状態」になったことです。
私に必要だったのは、怖さを完全に消すことではなく、次のように問題を分けることでした。
- 収入の不安は、家計の数字で確認する
- 家族の不安は、妻と話す
- 18年間の経験は、会社を離れても自分に残るものを整理する
- 世間体は、自分たちの生活とは分けて考える
決断のきっかけは、準備の積み重ねだった
退職を決断できたきっかけは、一つの強い言葉ではありませんでした。
支出を把握する。収入が減る前提で生活を考える。自分だけで結論を出さず、妻に迷いも含めて話す。こうした準備を積み重ねたことで、漠然とした恐怖が判断材料へ変わっていきました。
それでも、頭から消えなかったのが「会社を辞めたい」という気持ちです。
お金の不安が小さくなっても、通勤や仕事に使った時間は戻ってきません。子どもの成長も待ってはくれません。
私は、人生の中心を会社から家庭と個人事業へ移すことを決めました。
退職後に分かった、会社員の安心と自分を止めていた前提
実際に退職すると、会社員の安定が本当に大きかったことも分かりました。
毎月決まった給与がなくなり、仕事の予定と収入を自分で考える必要が出てきました。会社を辞めただけで、生活や仕事の不安が消えたわけではありません。
一方で、会社員以外の生き方を考えてはいけないという決まりもありませんでした。
私を止めていたのは会社の制度だけではなく、「会社員を辞めたら生活できない」「家族を守れなくなる」という、長年の生活の中で自分が作った前提でもありました。
退職を迷っているときに私が整理したこと
私は、次の順番で整理しました。
- 辞めたい理由を一文で書く
- 仕事内容、通勤、家族との時間など、問題を分ける
- 退職せずに異動や役割変更で解決できないか考える
- 収入が減った生活を数字にする
- 結論ではなく、迷っている段階から家族に話す
- 判断材料がそろったら、自分で期限を決める
紙に「会社を辞められない理由」を書き、それぞれを「事実」「まだ確認していないこと」「自分の思い込み」に分ける方法も役立ちました。
例えば、「給与がなくなる」は事実です。しかし「二度と働けない」は、まだ確認していない未来です。
同時に、会社に残ることで守れるものも書きました。目的は退職する勇気を作ることではなく、残る場合と辞める場合の両方を、自分の言葉で比べることでした。
私の場合は、妻への相談と家計の確認をしたうえで、それでも消えなかった気持ちが最後の決断につながりました。
退職後の収入や働き方は、今も試行錯誤の途中です。それでも、家計を確認し、妻と話し、会社に残る案とも比べたうえで決めたことには納得しています。
※この記事は、私自身が退職を考え、決断した経緯を記録した体験談です。退職、投資、特定の金融商品を勧めるものではありません。

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