退職して良かったと感じるのは、大きな成果が出た日だけではありません。平日に家族で出かけた日や、午前中の授業参観へ普通に行けた日など、会社員時代には難しかった小さな場面で実感します。
私は18年間勤めた会社を40代で退職しました。退職を決めた理由の一つは、子どもが小さい今の時間を大切にしたかったからです。
この記事では、退職後に家族とスパワールドへ泊まりで行った日と、午前10時40分からの授業参観に参加した日の体験をまとめます。
有給を取れても、気持ちは休めていなかった
会社員時代も、有給休暇は取れました。若い頃は「休みは休み、仕事は仕事」と切り替えられていましたが、ここ数年は違いました。
休めば休むほどタスクが積み上がり、職場へ戻った後の仕事量が気になります。大型連休の後は特につらく、「もう休みなんかいらない」と思うこともありました。
共働きだったため、仕事だけでなく家事と育児の予定も続きます。有給という時間はあっても、頭の中に仕事が残り、心の底から休めていませんでした。
退職して数日後、平日に家族でスパワールドへ行った
退職して数日が経ったころ、妻と子どもと一緒に、スパワールドへ泊まりで行きました。平日の施設は空いていて、誰にも急かされず、次の仕事を気にする必要もありませんでした。
特別なことをしたわけではありません。家族と一緒にゆっくり遊んでいただけです。それでも、「自分が求めていた時間は、これだったんだ」と感じました。
月曜日の仕事や、休み明けに積み上がるタスクを心配せず、目の前の家族との時間に集中できました。会社員時代の有給とは、同じ休日でも気持ちの状態が違いました。
退職直後には「こんなに自由でいいのか」という罪悪感もありました。しかし生活のリズムが少しずつできると、その感覚は薄れ、家族にも余裕を持って接しやすくなりました。
午前10時40分の授業参観へ、初めて普通に行けた
別の日、午前10時40分から始まる授業参観がありました。
会社員時代は、午後の授業参観なら比較的調整できても、午前中は仕事を優先し、「今回は無理だな」と諦めることが多くありました。
この日は妻が仕事を抜けられませんでした。共働きのままなら、二人とも行けず、子どもの授業参観に親が誰も来られなかったかもしれません。退職していたため、私は特別な調整をせずに参加できました。
早めに着いたから見られた、休み時間の息子
学校には少し早く着きました。ちょうど休み時間で、子どもたちが外で遊んでいました。
私を見つけた息子は、にこにこしながら近づいてきました。育てているキュウリについて、「大きくなってきてん」「もうすぐ食べられるで」と話してくれました。
会社員時代は、授業の開始直前に駆け込むこともありました。早く着き、授業ではない普段の息子の姿を見て、ゆっくり話す時間はありませんでした。
授業参観が終わって目が合ったときも、息子はとても喜んでくれました。当時、息子たちは小学2年生と年長でした。この年齢の表情や言葉は、その年にしか見られません。
「参加できた」と「向き合えた」は違った
会社員を続けていても、有給を取れれば学校行事へ参加できます。ただ、以前の私なら、体は教室にいても、「午後の会議はどうしよう」「終わっていない仕事がある」と考えていたかもしれません。
退職後の授業参観では、頭の中に職場のタスクがありませんでした。目の前で学ぶ子どもの姿に意識を向けられました。
私にとっては、予定表に参加の印を付けられることと、その時間に気持ちまで向けられることは違いました。退職後に得たかったのは、単に空いた時間ではなく、この余白だったのだと思います。
家族との時間を選んでも、毎日が旅行になるわけではない
退職後の暮らしは、毎日が旅行や休日というわけではありません。普段は家事をし、子どもの送迎を担当し、ブログなどの作業を続けています。
だからこそ、平日に家族で出かけたり、妻が仕事で動けない日に私が学校へ行けたりすることに意味を感じます。退職は家族の役割をなくしたのではなく、家庭の中で私が担う役割を変えました。
また、退職すれば必ず家族との時間が良くなるとも考えていません。時間が増えても、家事や送迎を誰が担うのか、家族が何を望んでいるのかが曖昧なら、別の負担が生まれると思います。
退職を考える前に、参加したい場面を書き出した
私が大切にしたかったのは、「家族との時間」という抽象的な言葉だけではありませんでした。
- 午前中の授業参観に行く
- 子どもの送迎をする
- 妻が仕事の日に家事と夕食を担う
- 平日に家族で出かける
こうした具体的な場面を思い浮かべると、何のために働き方を変えたいのかが分かりやすくなりました。
退職を迷っている方も、会社を辞めるべきか考える前に、「今参加できずに残念だった家族の場面」と「働き方が変わったら自分が担いたいこと」を書き出してみると、求めている時間が見えやすくなると思います。
私が退職後に価値を感じたのは、豪華な旅行よりも、休み時間にキュウリの話をする息子や、仕事を気にせず家族と遊べた平日の一日でした。子どもが小さい今にしかない場面へ、気持ちごと参加できるようになったことが、私にとって大きな変化です。


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