40代で退職を考えたとき、私が最も怖かったのは、この選択が「不可逆」だと感じたことでした。
生活費を計算し、生活防衛資金も1年分用意していました。それでも決断できなかったため、準備不足だけでは説明できない怖さが残っていたのだと思います。
結論から言うと、実際に退職した今、私は退職を後悔していません。ただし、収入や将来への不安がなくなったわけでもありません。
この記事では、退職前に感じていた怖さの正体、迷った選択肢、後悔しないために確認したこと、そして退職後の実感をまとめます。
退職は、会社員というレールから降りる感覚だった
私にとって転職は、会社員というレールの上を横へ移動する感覚でした。
会社が変わっても、毎月の給与や会社員という立場は続きます。しかし退職は、18年間乗ってきたレールそのものから降りるように感じました。
40代で会社を辞めた後、同じ給与水準、立場、条件へ戻れる保証はありません。
- 40代からのキャリアの継続性
- 今の給与水準と社会的信用
- 18年間積み上げた社内評価
- 会社員という肩書きが持つ安心感
これらを自分から手放すことが、私には大きな決断でした。
怖さは、お金だけでは説明できなかった
自分の中を整理すると、退職への怖さは大きく三つに分かれました。
毎月の給与がなくなる経済的な怖さ
会社員でいる間は、毎月決まった日に給与が入ります。退職後は、ブログやYouTube、個人事業へ取り組んでも、会社員時代のように決まった給与が入るわけではありません。
収入が想定どおりに増えなかったらどうするのか。その責任を自分で負うことが怖く感じられました。
会社員という立場を失う社会的な怖さ
会社名、役割、勤続年数がなくなったとき、自分の価値までなくなるような感覚がありました。
冷静に考えれば、退職しても18年間の経験が消えるわけではありません。それでも、会社の外へ出た自分がどう見られるのかを気にしていました。
自分の中に残っていたプライド
共働きで家庭全体を回す方が大切だと頭では分かっていても、「夫である自分が安定して稼ぐべきだ」という感覚が残っていました。
妻より収入が低くなるかもしれないことへの抵抗は、家計の計算だけでは解決しませんでした。
自分で決めるからこそ責任が重かった
自分で選んだ退職は、結果が思うようにならなかったときに、誰かのせいにはできません。
収入が想定より伸びなかったら。「辞めなければよかった」と思う日が来たら。その決断をしたのは自分です。
自由に選べることと、その結果に責任を持つことはセットでした。これが、私が「不可逆」と感じていた怖さの大きな部分だったと思います。
私が迷った二つの選択肢
一つは、会社員を続け、安定した給与と制度を守ることです。
もう一つは、収入の見通しが読みにくくなっても、往復60kmの通勤をなくし、家族と自分のために使える時間を増やすことでした。
会社に残る選択が間違いだったわけではありません。18年間、会社の仕組みに支えてもらったからこそ、結婚し、家庭を持ち、子どもを育てることができました。
一方、年間約480時間の通勤がなくなった生活を想像すると、平日の朝に妻とコーヒーを飲み、余裕を持って子どもを迎えに行く自分が浮かびました。
「退職で何を失うか」だけでなく、「戻ってくる時間をどう使うか」まで考えたことで、二つの選択肢を比べられるようになりました。
後悔する可能性を考えた五つの条件
退職前の私は、次の状態で会社を辞めると後悔しやすいのではないかと考えました。これは一般的な正解ではなく、私自身が確認した項目です。
収入が減った後の見通しを確認していない
私の場合は、妻が仕事を続けること、個人事業を4年間続けてきたこと、生活防衛資金を1年分用意できていることを確認しました。
すべてを予測できたわけではありません。それでも、我が家でどこまでなら挑戦できるかを夫婦で考えました。
退職後に何をするか決まっていない
私の場合は、個人事業へ集中すること、家事や家庭に余裕を持つこと、子どもと過ごす時間を増やすことが生活の軸でした。
自由な時間の使い方を考えていない
会社を辞めると、会社が決めてくれていた時間を自分で管理することになります。
実際には、自由な時間があるだけで毎日が充実するわけではありませんでした。ブログ、YouTube、家事、運動など、自分で一日の軸を決めなければ時間だけが過ぎます。
周囲と比較してしまう
周囲が働いている平日の昼間に、自分だけが会社へ行かないことで、「自分は何をしているのだろう」と感じる瞬間がありました。
会社員時代の基準だけで現在の生活を測らないことが必要でした。
会社以外との接点がない
会社員でいる間は、朝の挨拶、昼の雑談、仕事の相談など、人と関わる機会が自動的にありました。
在宅で仕事をすると、意識して外へ出なければ静かな一日が続きます。私にとって、孤独は収入と同じくらい現実的な心配でした。
退職前の想像と、実際は違った
退職前は、会社員という肩書きを失うことが一番怖いと思っていました。
実際に退職すると、肩書きよりも、毎月の給与がなくなる現実の方を重く感じました。
一方で、想像以上によかったこともあります。
- 個人事業へ集中する時間ができた
- 家事や送迎に余裕を持てるようになった
- 子どもと過ごす平日の時間が増えた
- 家庭全体のストレスが減った
自由な時間があれば自然に充実すると思っていた点も、実際は違いました。休む日や作業時間まで、自分で決める必要があります。
退職前に心配していた孤独や自己管理は、退職後も向き合っている課題です。
不安は残っているが、今は後悔していない
収入や社会的信用への不安は、今もゼロではありません。この選択が正しかったのかと考える瞬間もあります。
それでも私は、現在のところ退職を後悔していません。
妻や子どもと過ごす時間を自分で選べる生活は、退職前に望んでいたものとつながっています。不安があったこと自体が間違いだったのではなく、安定と時間のどちらを優先するかを本気で考えていた証拠だったと思います。
退職が怖いとき、私が紙に書いたこと
私は、不安を次の三つに分けました。
- お金の不安
- 家族への責任
- 立場やプライドへの不安
お金は、生活費と収入の見通しを数字にしました。
家族への責任は、一人で結論を出さず、妻に迷いも含めて話しました。
立場やプライドについては、「誰にどう見られることが怖いのか」を言葉にしました。
さらに、次の四つを確認しました。
- 収入が減った状態で、現在の家計がどのくらい続けられるか
- 退職後に毎週続けたい活動があるか
- 妻が納得しているか、家庭内の役割をどう変えるか
- 会社以外に人とつながる場所を持てるか
すべてに完璧な答えがあったわけではありません。それでも、「何となく後悔しそう」と考え続けるより、答えられない項目を一つずつ確認する方が、私には役立ちました。
※この記事は私自身の退職経験です。退職、再就職、投資などについて一般的な正解を示すものではありません。


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