退職と転職は、似て非なるものだ
転職は、レールの上を横に移動する感覚だ。
会社が変わっても、会社員というレールは続いている。
でも退職は違う。 レールそのものを降りる行為だ。
そしてレールを降りた人間が、同じ場所に戻れる保証はない。
「不可逆な決断」が怖い理由
お金の問題ではない。 生活費は計算した。資産もある。生活防衛資金も1年分ある。
それでも踏み切れないのは、この決断が不可逆だからだと思う。
退職によって手放すものがある。
- 40代という年齢でのキャリアの継続性
- 今の給与水準と社会的信用
- 積み上げてきた社内評価
- 「会社員」という肩書きが持つ安心感
これらは、辞めた瞬間に消える。 そして「また同じ条件で戻れる保証」は、どこにもない。
冷静に考えれば、ゼロにはならない
感情を一度横に置いて、事実だけを並べてみる。
再就職は、できる。 収入は下がるかもしれないが、働けなくなるわけではない。
人生がゼロになるわけでも、詰むわけでもない。
頭ではわかっている。
それでも怖い。
なぜなら、「自分で決めた退職」だからだ。
自己決定の重さ
リストラなら、会社のせいにできる。 体調不良なら、身体のせいにできる。
でも自分で選んだ退職は、言い訳の余地がない。
もし思うようにいかなかったら。 収入が想定より伸びなかったら。
「やめなければよかった」と思う日が来たら。
そのとき責任を取るのは、100%自分だ。
自己決定の自由と、自己責任の重さは、セットでやってくる。
それが、不可逆な決断を前にしたときの本当の怖さだと思う。
それでも、不可逆だからこそ本気になれる
ここで少し視点を変えてみる。
不可逆だから怖い。 でも不可逆だからこそ、真剣に考えられる。
軽い気持ちで辞めようとは思っていない。 逃げるために辞めようとも思っていない。
戻れないかもしれないからこそ、 「自分はどう生きたいのか」を、本気で問い直している。
怖さがあるのは、本気だからだ。 揺れているのは、逃げていないからだ。
最後に
不可逆な決断は、人生に何度かある。
結婚も、子どもを持つことも、家を買うことも、本質的には不可逆だ。
それでも人は決断してきた。
退職も、同じだと思う。
完全な確信なんて、たぶん来ない。 怖さが消えることも、ないかもしれない。
それでも、怖さと向き合いながら選んだ決断は、 後悔の質が違う気がしている。


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